続けたくなるインプラント

「癌の新リンパ球療法」とは最初のリンパ球療法の問題点リンパ球を活性化させて、癌に対する免疫を働かせる細胞性免疫療法をはじめて試みたのは、1963年、イギリスのエジンバラ大学の外科病理学教室にいたウッドラフ博士とノーラン博士のふたりでした。 彼らは進行癌の患者さん8例に対して、手術で摘出した別の患者さんの牌臓から採取したリンパ球を、患者さんひとりに対して50億から500億個、静脈、または腹腔内に投与しました。
リンパ球は臓器のひとつです。 ご存じのように、他人の臓器を移植すると、拒絶反応を起こします。
当然他人のリンパ球をこれほどたくさん投与すれば、拒絶反応が起きる心配があります。 そこで、リンパ球を投与する前に、癌には影響を与えない程度の、少量の抗癌剤を短期間与えて拒絶反応を防ぐという前処理がされました。

このリンパ球治療を受けた癌患者には、めざましい効果があらわれました。 3人の卵巣癌患者の場合、腹水が完全になくなり、再発もしませんでした。
また、メラノーマ(悪性黒色腫)患者の1例では、癌が壊死して黒い色が消え、癌の進行がまる2か月間止まりました。 癌が脊髄に転移していた乳癌患者は背中の痛みが完全に消えました。
このように8例の患者さんのうち5例までが著効、つまり癌の影響がほとんどなくなるまでに回復したのです。 しかし、この最初のリンパ球療法には、ひとつ大きな問題がありました。
リンパ球を、手術で摘出したほかの患者さんの牌臓から採取しなければならなかったために、そうたびたび手に入れるわけにはいかなかったのです。 リンパ球が、必要なときにまにあわないということで、せっかく著効をみた患者さんたちも、リンパ球の注射がそのときの1度だけで終わってしまい、ふたたび癌が悪化していったということです。
その後も2、3、このリンパ球療法が施行された症例は報告されていますが、この問題点は克服されないままでした。 けっきょく、このリンパ球による癌の治療法は、1時的に注目されただけで埋もれていってしまいました。
確立した「新リンパ球療法」。 71年には、日本のS博士の手で、末梢血から採取したリンパ球による癌の治療が試みられました。
この方法なら、血液のなかからリンパ球を採りだすために、必要に応じてリンパ球が確保できます。 WとNのリンパ球採取方法にくらべると、はるかに優れた方法といえるでしょう。
ところが、この新たなリンパ球療法も、まもなく大きな壁に突き当たることになります。 というのも、最初にリンパ球を投与したときには非常に高い効果があらわれるのですが、その後、2回、3回、4回と投与の回を重ねるごとに、回数に反比例するように、その効果が減少していってしまうのです。
効果が持続しないというのでは、せっかくの療法も1時しのぎに終わってしまいます。 じつはこの壁は、十分な臨床例を重ね、豊富なデータを得られるようになった現在では、それほど突破のむずかしいものだったとは思えない程度のもののようです。

しかし、私たちもふくめ、リンパ球療法に、癌患者の苦しみをすこしでもやわらげ、解放するための希望の光をみようとしていた医療関係者にとっては、この壁をどうすれば越えられるかは、きわめて深刻な課題でした。 その解決のために、いろいろな仮説がたてられました。
たとえば、ある種の抗癌剤では、最初はよい効果をあらわすものの、つかっているうちに、癌細胞のほうに薬剤耐性(薬に抵抗する力)ができて、自然に効かなくなる場合があります。 しかし、リンパ球療法の場合には、投与したリンパ球は、すでに体内にあって免疫機構を働かせているリンパ球と基本的にはかわりませんので、癌細胞に耐性ができるとはまったく考えられません。
こういった具合に、あらゆる角度からの検討を重ね、その間新たに登場した学問的成果も加味し、臨床での使用の安全性も確認したうえで、癌の治療法として確立されたのが、CBS研究所で提唱している「癌の新リンパ球療法」なのです。 新リンパ球療法の効果。
2つの薬「新リンパ球療法」では、若い20歳代の健康な人の血液から採取したリンパ球を投与します。 リンパ球の数は、年齢が高くなればなるほど減ってきます。
50歳以上の人の血液中リンパ球は、数が少ないだけでなく、リンパ球そのものも、リンパ球療法のための採取血液には、もはや適さなくなっています。 このことは、人間も50歳をすぎると、それだけ自分自身の免疫機能も低下してくるということで、このくらいからいわゆる「癌年齢」にさしかかるわけです。
また、若い元気な人でも、採血時にカゼをひいていたりすると、採取できるリンパ球の数は激減します。 これは、その人のからだのなかでカゼのウイルスを撃退するための免疫機構が働き、リンパ球がかりだされている最中であるということでしょう。

投与されたリンパ球は、直接免疫細胞として、免疫機構のなかの役割の1端を担いますが、そればかりでなく、患者さんのからだのなかにもともとあったリンパ球をも活性化して、免疫機能を回復させます。 「癌の新リンパ球療法」では、リンパ球投与に先だってセレニウムとファモチジンという薬を内服します。
セレニウムは、高い抗酸化力をもつ微量栄養素です。 人間の体内には、酸化によって生じる過酸化脂質を分解し、細胞の破壊を防ぐグルタチオンパーオキシダーゼという酵素がありますが、セレニウムはその主要構成物質です。
当初は、この過酸化脂質がリンパ球の働きを弱めるという可能性に着目して、これを分解してくれるセレニウムの補給を考えたものですが、そればかりでなく、セレニウム自体が癌治療に高い効果を示しています。 とくにアメリカでは、癌患者にセレニウムを大量に投与するだけで癌治療にきわめてよい効果があがったという報告がたくさんされているのです。
そのポイントはビタミンEの750倍もあるといわれる高い抗酸化作用にあります。 ファモチジンは、もともとは胃潰瘍の薬として開発されたものです。
これもリンパ球療法がより有効に働くための側面援助をしていると考えられます。 セレニウム、ファモチジンともに、リンパ球療法によって、免疫機構が十分に働くためのよりよい環境、条件をからだのなかにつくりだす役割を担っているのです。
治療はどのようにおこなわれるのか何度もいうようですが、新リンパ球療法は患者さんの免疫機構をよみがえらせて癌を治そうとするものです。 そこで、新リンパ球療法を受ける人の身体的な状況が問題になります。
十分な効果を得るための身体的条件としては、つぎの3つがあげられます。 1食事が十分できること。
2癌の広がりが、それほど大きくないこと。 3癌細胞に対する免疫機構がまだ反応する力をもっていること。
これらの条件を備えている人なら、新リンパ球療法の効果もおおいに期待できます。 原則としては、こうした条件に適合する患者に治療をおこないます。

まず、セレニウムとファモチジンの内服です。 セレニウムの量は1日750〜1500マイクログラム。
内服するのは有機セレニウムで、副作用はありません。 セレニウムは水に溶けず、注射による投与はできませんので、内服するしかありません。

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